カフェの天井に発見! 「光の直進性」が作り出す美しいアートの秘密

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

カフェでコーヒーの香りに包まれて一息ついているとき、みなさんはどこを見ていますか? スマホの画面や読みかけの本もいいですが、ふと「天井」を見上げてみてください。そこには、教科書で習った「光の性質」が作り出す、美しいアートが隠れているかもしれません。

先日、あるカフェで休憩していたときに、光は放射状(ほうしゃじょう)に広がるということがひと目でわかる写真を撮ることができました。それがこちらです。

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「光の直進性」が描く幾何学模様

これはカフェの照明なのですが、天井に映った光の模様に注目してください。中心から外側に向かって、まっすぐに光と影が伸びている様子がわかりますね。

理科の授業で「光は直進する」という性質を習いますが、まさにその通りに光が動いている証拠です。

この照明器具をよく観察してみると、電球が4個組み合わさってできていました。 それぞれの電球から出た光が、照明のフレーム(枠)に当たって影を作り、隙間を通った光が天井に届く。光源が4つあるため、それぞれの影が重なり合い、このような複雑で美しい放射状の模様を描き出しているのだと思われます。

なぜ「蛍光灯」ではこの模様が出ないのか?

「うちの部屋の電気では、こんな影はできないよ?」と思った方もいるかもしれません。 実は、一般的なオフィスや教室にある長い「蛍光灯」や、全体が白く光る「シーリングライト」では、このような現象はなかなか見られません。

蛍光灯のように光る面積が大きい照明(面光源など)だと、光がいろいろな方向から回り込んでしまうため、影の輪郭がぼやけてしまうのです。 一方で、このカフェのような小さな電球は「点光源(てんこうげん)」に近いため、くっきりとした鋭い影ができやすくなります。

「おしゃれな照明」の正体は、物理的に言うと「点光源と光の直進性が作り出した影のアート」だったわけですね。ちょっとしたことですが、ぼんやりと光る蛍光灯ではなく、こういった身近な喫茶店の照明を眺めてみると、光の不思議に気づくきっかけになるかもしれません。 みなさんも次にカフェに入ったときは、ぜひ天井を見上げてみてください。

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